前回「新入行員の業務 〜融資事務① 〜」でご紹介できなかった業務についてご紹介していきます。
◯具体的な内容
・端末操作
・督促
・本支店間の書類のやり取り
・簡単な顧客対応
新入行員の業務 端末操作
「端末操作」とは、お金の移動や契約の締結・解約などを司る端末の操作を正確かつ迅速に行っていく業務です。
この業務には「正確さ」と「迅速さ」が求められます。
◯理由
・正確さ
この操作で金額や、日にちなどの条件面が決まってしまうので、間違えると顧客に大損害を与えかねない。最悪、倒産に追い込んでしまうこともあり、そうなれば損害賠償の危険性もあるから。
・迅速さ
顧客が来店している場合、待たせることになってしまうし、融資は最後に締作業があるので、一日に何件も融資操作があるとその日中に終わらなくなってしまう危険性があります。
以上のため、端末操作はじっくり要領を読みながら進めるなんてことが出来ない場合もあり、それでも正確さが求められるため、普段の勉強と本部の端末担当などと連携をとりながら効率よく業務を進めていく必要があります。
正直面白くないし、神経も使うのでキツイですが、その分融資の必要書類や条件面、実行の流れなどを学べるため将来の役に立つ業務です!
また、融資の課長など管理職を目指すなら、端末操作の知識はある程度必要とされるので新人の頃に学んでおくことをおすすめします。
新入行員の業務 督促・管理
融資課では、毎月の延滞者リストや電話対応、窓口対応をしていく中で、「督促」を求められることがあります。
督促とは「お金をいつまでに入金してくださいね」と促す業務です。
例としては、
・収入の減少で毎月の返済が出来ない
・今月の人件費の支払いをしたいので、一旦返済をストップしたい
・単純に入金を忘れてしまった
・そもそも債務者と音信不通で督促が必要
などで、ケースによって対応は変わってきますが、中でも新人は
お金はあるのに返済しない方を対象に、入金を促していくことが求められます。
具体的には
・入金が出来なかった理由を聴取
・相手の状況を鑑みつつ、いつまでにいくら入金できそうか交渉
・引き続き入金状況などを確認しつつ、追加の交渉をしていく
といった流れとなります。
◯電話に出ない先に足しては、「訪問」「追跡」が必要になります。
具体的には
・訪問して事情を聴取する
・引越し済みで会えない先は、住民票を取得し追いかけて事情を聴取
することが求められます。
新人で回ってくることはあまり無いかと思われますが、これはかなり神経を使う業務なので、難しいです。
しかし、相手の状況を正確に把握した上でアドバイスしていくことは、本来の銀行員に求められるスキルの一つであり貴重な成長の機会ともいえるので、手を抜かずに頑張りましょう!
※また、お金が本当に無いなど高度な対応が求められる案件に対しては、上席が担当となるケースがほとんどです。
本支店間の書類のやり取り
当然ですが、融資の契約を解約する際や完済した際は、金銭消費貸借契約証書などの契約書を返却する必要があります。
しかし、全ての契約書を支店で保管しているかといえば、そうではありません。
とても「古い契約」や「特定の契約」については本部や母店などに集中していることがよくあります。
こういった場合、契約書類一式を取り寄せる必要があり連絡を取り合い記録簿をつけていく必要があります。
一見、大した業務には思えないですが
「どの契約書類がどこに保管されているのか」
を把握している必要があるため、覚えておくと将来融資課に本格的に配属となった時に役に立つと思われます。新人の今のうちに覚えてしまいましょう!
また、こういった支店間の折衝も必要なスキルの一つなので侮ってはいけません!
新入行員の業務 顧客対応(残高証明)
残高証明
融資課では、度々残高証明書の発行を依頼されることがあります。
用途は、
・住宅ローンの控除制度を利用するため
・融資残高の現状を証明するため
が主で、住宅ローンに関しては、基本自動発行だとは思いますが、無くされる方もちらほらいらっしゃるので、再発行を依頼されることがあります。
※住宅ローン控除制度とは
年末のローン残高✖️1%の金額を所得税額から控除する制度。
所得控除ではなく、税額控除であることに注意が必要。また、控除適用期間は入居時期によって変わり令和2年では13年間の適用となっている。
また、他行で借入を行う際に「現在の融資残高の証明」の提示を求められるため、発行を依頼されることがあります。
発行の注意点としては、
・手数料がかかる
・書類間で割印が必要な場合があり忘れがち
・端末操作が必要なので、手数料の徴収や発行の方法を知っておく必要がある
といったものが挙げられますので注意しましょう!
特に手数料は場合によって変わる上に、領収書の作成や事務との連携などが必要なので、新人にとってはこれでも慌てる可能性がありますので知識をしっかり確認して挑みましょう!
まとめ
新入行員の業務「融資事務編②」は、いかがだったでしょうか?
今回も地味なものが多かったですよね。でも融資の「縁の下の力持ち」として重要な業務ばかりなので、腐らずやっていって欲しいです。後になんらかの形で必ず役に立ちます!
また今回、顧客対応などまだまだご紹介できなかった業務も多いので、今後順次ご紹介できればと思います。
では、次回をお楽しみにお待ちください。
新入行員の業務 〜融資業務① 〜
執筆者
T
現役銀行員。現在は融資と資産運用担当。
簿記・FP・ビジネス法務・TOEIC・保険販売資格・外務員..を保有